令和7年省エネの転換期
- koharubi
- 4月18日
- 読了時間: 4分
更新日:4月28日
気づけば5月になろうとしています。
多忙ですっかりつぶやきが途絶えておりました…
世の中、じつは4月から建築基準法が法改正。
その対応に、住宅業界はパニックです。
そして、遂にすべての住宅で「省エネ基準の適合」が義務化されました。
簡単に言うと、最低限の断熱性確保と、お家が消費する、排出するエネルギーの最低限の削減率を定める基準に適合しないとお家が建てられない…という事。
それで世間では、ニュースや記事に取り上げられ、
「これからの家づくり、大変になるの!?」「コスト上がるのでは…?」と、不安を感じている方も少なくありません。
というか、ぶっちゃけかなり煽ってますよね…というのが本音であります。
実際、結論から言えば――
そこまでビクビクしなくて大丈夫と思いますよ。
むしろ『やっとそこですね』というレベル感であるのが事実。
今回の改正内容とは、ざっくり言うとこんな内容です。

※国土交通省資料抜粋
このような感じで規模問わず義務化。しかしながら、
義務化される省エネ基準は、すでに10年前から「推奨」されてきたものでして…
たとえば6地域と呼ばれる東京周辺地域だと以下の数値です。
UA値(外皮平均熱貫流率)…0.87W/㎡K以下
一次エネルギー消費量…基準消費量の100%以下
これは、つまりは断熱等級4、いわゆる平成28年基準相当なんですよね。
そうそう。
ちょっと最近のメディア記事を抜粋すると…
「断熱等級4は2022年6月までは最高等級だった、2025年4月以降は適法の最低基準になり、これがいかに厳しい水準となるかがわかるでしょう。高い省エネ性能が義務化されることに伴い~…」
とあります。
ふむふむ…そして国の方針として、

※国土交通省資料抜粋
このバーチャートのような目標指標が国としてありますね。
そしてメディアの記事としては…
「コストアップとなる内容」
・構造仕様規定書類の作成費用
・高性能の断熱材の使用
・気密処理工事
・高性能サッシ、玄関ドアに変更
とありました。
ちょっとあまりにも意地悪が過ぎる煽り内容と印象を受けちゃいますね…
そもそもこれらって、もう当たり前に業界では採用されてきたわけで、よっぽどのローコストメーカーさん方が考え直さねばならぬ内容です。
既に、大手ローコストメーカー、建売住宅でも既に2025年4月の義務化内容は手放しでクリアしております。(一部除く…)
これを「新しく義務化」と言っているわけですが、うちのように日常的にUA値0.30以下、最近は0.25前後の性能設計が平常運転の立場からすると、
ようやくスタートラインが定まった”くらいの話です。
まあ、とても良い動きである事は確かです。脱炭素に向けてこの業界はスタートラインさえ立っていなかったのですから。
我々は快適な暮らしにはもっと高い性能が必要だと気付いてから、個人でずっと前から取り組んできました。
つまり「改正で不安」なのは誰なのか?
メディアでは「省エネ義務化でコストが上がる」「ハードルが上がる」と煽っていますが、それってつまり…
今までちゃんと設計してこなかった・適当に設計をしていた側の“悲鳴”な訳ですよね。
Koharubi-lab.では、住宅性能をベースに考えることは“今さら”という感覚すらあるので、十数年前から試行錯誤を重ね、工法も材料も計画も、ブラッシュアップを続けてきたからこそ今があります。
令和の時代、今後家づくりでは何が大切かー
それは「誰とつくるか」が、ますます重要に。
十数年のノウハウがある人と、今回の改正で“ようやく一歩進んだ”人とでは、どうしたって差が出ます。
トライアンドエラーのケタ、通ってきた道筋、経験値、仲間が違う。
見えない部分にどれだけ時間と知恵を注いできたか。
それは設計の引き出しの数にも、現場での判断力にも、住まい手への提案力にも現れます。
これからの時代は、
「どんな性能の家を建てるか」以上に、
「誰と家をつくるか」が問われる時代だと私は考えます。
ものづくりって、大手だから良い・有名だから安心…になるとは限らない。
小さくても、個人でも、中規模でも…通ってきた技術のベースレールが違うと、
その大小は比較にならない程差がついているのが現実です。
小さい工場でも世界レベルのトップレベルのネジやプログラムを造ってる…みたいな感覚と近い。
2030年の義務化内容は、現状大手ハウスメーカーでもクリアしない所もあるので、それはまた仕様の見直しとなると思います。
ネームバリューでモノを決める時代は終わりを告げたのではと思います。
まとめ
✅ 今回の省エネ法改正は、ようやく“最低基準”が義務化されるだけ
✅ 快適性・省エネ性・住まい心地には、もっと高い性能と設計が必要
✅ 経験とノウハウの差は、家そのものに確実に現れる
✅ 家づくりは「人」次第
Koharubi-lab.としましては、特段何か変わるわけでは無いのであまり今回意識していなかったのですが、顧客の相談内容に大きく変化が生じているのは事実です。
数値の先にある“心地よさ”と“美しさ”を大切にする設計事務所として、これからも変わらずに家づくりに真剣に向き合っていきます。
ぼそぼそ