最近はやりの全館空調。
家全体を換気システムと冷暖房を組み合わせ、
少ない熱源で部屋中温度ムラの無い快適な空間を生み出す冷暖房システムの事です。
CMとかやってますね。
私もよく全館空調システム取り入れて設計していました。
実はこのシステム。お家の性能や吸排気口の位置をしっかり見極めないと、
増エネになることご存じでしたか…?
ただのお家に、各部屋エアコンをつけて部分間欠運転した方が、結局省エネだという事。
(間欠運転とは、エアコンのスイッチを温度によりOn・Offすることで、連続運転は付けっぱです。)
しっかりされている設計士とか、ビルダーさんはご存じのある実験があるのですが、
実験の結果では、以前の記事でお話しした、
平成28年省エネ基準(現在の日本の最新基準)である「等級4」のお家を基準として
冷暖房空調稼働をしたところ、下記のような結果となりました。
・等級4 UA値0.85
冷暖房間欠空調 5.4万/年(熱交換無し)
冷暖房連続空調 12.1万/年(熱交換無し)
・HERT20G1クラス UA値0.55(熱交換無し)
冷暖房連続空調 11万/年
・HERT20G2クラス UA値0.46
冷暖房連続空調 5.4万/年(熱交換有り)
・HERT20G2+αクラス UA値0.34
冷暖房連続空調 2.9万/年(熱交換有り) このクラスで概ね半分以下の光熱費となる。
注目したいのは…
全館空調を採用しているメーカーは、ほぼHERT20G1クラスの基準の家が多いという事。
つまり、そのクラスの家で全館空調システム取り入れている家は、
結果「増エネ」しているって事ですね。
しかしながら、アパートから引っ越して戸建てに住む、というご家族が殆どなので光熱費が下がったか上がったか比較出来ないですよね。
普通アパート住まいより戸建ての方が光熱費は高いですから。
結構インスタとかでも全館空調安い!みたいな投稿をチラホラ…
見てみると、普通に高いよねそれっていう。
光熱費で大体断熱性能わかっちゃうのでそれが大体HERT20G1クラス。
まあ殆どは熱交換を採用しているはずなので、実質ここまでの差にはならないと思いますが、
間欠でするより結果として増エネになっているのでは、取り入れるメリット「?」になりますね…
快適のために全館空調つけたけど、性能が疎かになってしまったため結果光熱費が増えた…
本末転倒です。
そこを避けるべく先ずアドバイスとして、
全館空調の前にお家の気密断熱・換気性能の向上を目指してください。
この「性能」をしっかり設計してから、全館空調設計に移るのがベストです。
性能を向上して、室温設計して太陽高度見て換気設計して冷暖房設計して気密工事して…
っていうしっかりした流れを踏めば、全館空調じゃなくても、エアコン熱源がどこで稼働しても快適なお家になります。
全館空調いれたいっ…て施主さんが増えてきて、「その前に大事なところを…」って会話が割と最近増えました。
他にも機械自体10年位で壊れる・メンテナンスコスト等側面で、もっと責任もってお話ししないと、10~15年後大変な事になると思うんですけどね…
全館空調入れる=快適の内部構図をしっかり解説してCMとか広告とかやらないと、ダメなのでは…
イニシャルコストも高いのに、増エネ促進してどうするの…と思う事が多い。
しっかり換気を設計してエアコン効率を考えた間取りがあれば、全館空調っぽく出来ますので、その方が良いと思ってしまいます。
全館空調はエアコン一体なので、真夏・真冬にそれが死んだらどうなるか…
一台で空調している…代わりは無いと考えると?
修理屋さんは繁忙期すぐ動けません。
使用するなら修理体制万全の所をオススメしたいですね。
ぼそぼそ…