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執筆者の写真koharubi

太陽に素直な設計のステップ①

最近の夏は暑いですね…

私は夏生まれで夏が大好きな汗腺ダクダクな子どもでした。


大人になってからは、冬も中々いいなあとここ最近は感じます。


夏と冬、暑さに違いがありますが、その影響としては太陽の角度が大きく違うことにあります。


関東では夏至の6月22日付近を78度の角度で、冬至の季節12月22日付近で34度となります。


つまり夏は太陽が昇っていく角度が大きいため真上から日差しがサンサンに降り注ぐ時間が長く、

かたや冬は角度が低いため日が短く暖まる時間が足りません。


つまり太陽を上手く読まないと、涼しく温かい空間は造れないのですね。


コハルビラボはよく「太陽に素直に設計をする。」と言っていますが、ここに意味があります。


しかしながら、具体的にどうしているのか?


今回は、現在進行中のプロジェクトを例に少しお話ししてみようと思います。


まずファーストステップとして私は、敷地で実際に太陽の昇る角度を計測します。


こんな感じで春分~冬至まで全部の太陽の軌跡を記録しております。



このステップを踏まない限り、何時にどの建物が計画に対して日射の障害になるかわかりません。


更には、「将来に渡りこの日射の障害となる建物が建て替わる場合・空き地なら新しく建物が建つか否か」まで考えます。


建て替わる・新築される可能性も考慮して、間取り計画等に懸念をピックアップします。


この検討を経て、初めて土地の特性が理解できます。


次に太陽の軌跡が解ったら実際に周辺環境を落とし込み、「影の出方・動き」を解析します。


敷地にラフな計画プランを描いて…

こんな感じで、周辺建物から発生する影を解析します。


真ん中の計画土地・建物に何時から何時まで影が掛かるか解析をしたら、


おのずと合理的に日射を取り込める範囲や終日日が当たらない範囲が解ってきます。


これを上手く読み解くと…早朝日が入るエリア、西日がきつくなるエリア等理解できます。


すると、早朝日の入るエリアは寝室を置きたいな・西日エリアは窓無しだな、等間取り考察が出来ます。


画像上の青い線は「この土地で長い時間日射が取り込めるエリア」と答えが出ました。


解析の設定は勿論冬至。


温かい設計をするには、一番太陽高度が低い季節で分析する必要があります。


ここまで来てやっと「設計コンセプト・間取り作成・デザイン」です。


この流れ、解析をすることで、一切の窓の無駄や無意味な窓の設置を無くしています。


分析によって得た太陽の動きに合わせ、窓一枚一枚に役割を持たせます。


さて、この土地は1階リビングはキツイか…?と初見がありましたが、周辺建物の隙がうまくあるため、流れから見てこの土地は1階でも2階でも太陽に素直にリビングが設計できる土地、とわかりました。


そして、建築基準法上の採光規制や他ありとあらゆることを紐解いていき…


結論本計画は2階リビングの間取りが最適解と導くことが出来ました。


こうして、次のステップとして本格的なプランニングを開始します。


如何でしたでしょうか?


「間取りすぐ作りますよ、とかデザインはこんな感じで…とか、窓はこの辺にどーんと大きく!とか。」巷はこんな流れが殆どですが、


「ロジカルなデザイン」を生むって本来こうあるべきだと思っています。


人の命に係わるものを設計するなら猶更の事。


ここから、この解析を元に断熱性能と室温・光熱費を計算、そしてようやく間取りプランニングと窓の有効性の設計のステップに進みます。


建物デザイン・家事導線・可変性等間取りアイデアの作業なので、ここが一番大変。


ただカッコいいだけの建物って、難なく作れますが、温熱ロジックを取り入れた瞬間プランニングは難解になります。


だが、ここを追及するのが楽しかったりします。


次回はこの続き、窓の実際の有効性、そして太陽に素直な設計の意味と断熱性の関係性をお話しします。


ぼそぼそ…

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