「建築」は様々な可能性を秘めており、活性化させるツールでもあります。
始まりは故人を弔う墓から始まり、時代を経て多くの可能性を生み出してきました。
私たちの馴染みであることと言えば、日頃当たり前に目にする「街並み」でしょう。
時代毎に幾度も象徴として装飾性が変化・多様化し、景観と地域の風土を示すものとなりました。
そして一つの街のランドマークになるものが出来…街のシンボルとなるものも出てきました。
それを生み出し、可能性を見出すのも、人であり、
また、街並みを正す・利用するのも人です。
様々な建築のファサードから形成され印象付ける「街並み」は、
まさに国のマクロな特徴となりますね。
例えば、欧州諸国の一つの国を見てみましょう。
これは、ドイツ・ブレーメンの旧市街の街並みです。
この日は、確か土曜日でお店はやっていませんでしたので人気が少ないですが…
一つの街路地をとっても、
その街の雰囲気と音楽の街の風土がとても感じられる美しいまとまりでした。
他にも街の特徴があります。
それは、古くから街の中心にはマルクト広場というものがあり(解放された広い市場)
そこには教会の塔がそびえ立ちます。
(ドイツ・シュヴェリーンのプロテスタント教会です。)
それはつまり、地図が無くても迷ったら塔を目指せば、広場にどこからでも戻れる…という事です。
「ランドマーク」を基準にすれば、迷わず目的地へ行ける…これは「建築」に明確な役目を与えて、
人々に寄り添うように考えられています。
教会であることで、寄り添いと信仰が密接に街に浸透している証でもあります。
「街並み」のまとまり、住む人の知恵がとても垣間見えますよね。
こんな具合に広場と隣接し、どの方角・街路地からも教会塔が見えるようになっています。
ドイツに、一人旅で行った時のシュヴェリーンの街の写真です。
その際は、行く先々の街で身をもって教会の塔に助けられました…
かたや日本は…戦後の高度経済成長期の乱開発で無秩序な街並みが多く、
統一された装飾性は見られないものであり、街並みのまとまりが無いですよね。
工業的で冷たく、「建築」の意匠性や美しさは街並みには見られません。
それはそれで、味があって風土を示すものとして良いのでしょうが…
街並み形成の大部分である住宅も例外ではなく、景観条例がない限り戦後の乱開発と変わらない現状がそこにはあります。
大部分はエゴであると思うし、地域や風土と真剣に向き合ってこなかったメーカー、人、デザイナー、
そして建築士の甘さだと思います。
建築士である限り、街の秩序・風土に見合った意匠性を住宅に追求するのも、大事な仕事のではないかと日々思います。
建築士が「建築」を扱えるプロなのであれば、建築の始祖ウィトルウィウスの思想や、
欧州諸国の建築に対する姿勢をもっと学ばなければいけないな、と日々考えるこの頃。
かっこよければ、それでいいんだろうか…
ぼそぼそ
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