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藤森建築の心躍る建築思想…

執筆者の写真: koharubikoharubi

私の好きな建築をつくる人で、建築史家の藤森照信さんがいます。


御年76歳の大ベテランです。


あの、アーティストの小田和正さんと大学時代の同級生であり、日本建築史の研究や建築探偵団を立ち上げ、建築の歴史を調査してきた方です。


藤森さんは、奇想天外でどこか懐かしさを感じる日本建築を考える人なのですが、


とにかく考える建築が土着的。


まさに建築を遊ぶとはこの事…


20代の時、全国各地の建築物を見て回った際、特に印象に残る建築をしていたのが藤森さんで、

土地との一体性や、風景に溶け込む芸術性に度肝を抜かれました。


藤森建築といえば、「空飛ぶ泥船」や「高過庵・低過庵」が有名ですがその他にも面白い建築が沢山あります。


これは静岡県にある「ねむの木子ども美術館」です。


その場に佇む姿は、周囲に違和感なく溶け込み、ファサードもさることながら素材の活かし方が素晴らしい建築です。

正に、「施工を楽しむ!」感が伝わってくる建物で、藤森さんらしい建築です。


近くで見ると、藁をセメントに練り込んで壁を塗っていたり、屋根に草が生えていたり…

ジ〇リに出てくる建物そのもの。。。といった印象でした。


中に飾られている美術品も、ねむの木の子供が制作したもので、館内のBGMも相まって気持ちに訴えかけられるような空間でした。


そう。藤森建築は周囲に溶け込む自然そのもの。

これは滋賀県にある「ラコリーナ近江八幡」です。


もう「自然」。。ですよね 笑


敷地内を歩いていても、もちろんBGMはカエルの鳴き声です。

中はこう見えて洋菓子屋さんなのです。


ラコリーナは周辺が田んぼであったり麦畑であったりと、建築する条件が難しいですがそれを見事に昇華し建築を高度な環境に仕上げています。


里山の懐かしさや、野山との繋がりを持たせ、私達が日々忘れがちな身近な自然を体感させてくれます。

館内も、もちろん手が凝っていて仕上げの壁天井に遊びがとても感じられます。

売っているお菓子ももちろん美味しくて、沢山買いたいものばかり。


けしてメインの洋菓子の存在を薄めてしまう空間ではなく、むしろ上手く引き立てていて、ラコリーナで買っただけで価値が上がりそうな気さえしました。


こんな建築。。考えてやってみたいものですね。

敷地内の案内やサインをとっても、遊び心がふんだんにあり、ご覧の通りどこか日本の懐かしさを感じる案内板でした。


方向サインもありんこだったり、芋虫だったり、ランドスケープデザインと建築の一体性・協調性も優れている素晴らしさ。

これは、静岡県にある「秋野不矩美術館」です。

そこまで大きな建物ではないのですが、焼杉の使い方や土壁・館内の空間構成が絶妙でした。


竣工から15年経っても、"劣化”ではなく、"変化”した素材の表情が建築の寿命を感じさせないですね。。バランスのいいフォルムも素晴らしい…

入口の自動ドア一つとっても、こだわりが詰まっています。

ツキノミかハンドスクレイプの表面加工だと思うのですが、自動ドアといったらガラスのイメージですよね。。


ここにも一体化した魅せる建築要素…


そんな事考えて、玄関前で一人テンション上がってて、受付さん気持ち悪かったと思います。


自然の素材を使った、まるで自然アートな建築を楽しみたい方は藤森建築ぜひおススメします。


長野の「神長官守屋資料館」や岐阜の「モザイクタイルミュージアム」、「にらハウス」や「タンポポハウス」…正直魅力的な建築物が多く語りきれないというか、文章がブログを氾濫してしまうのでここまでにしておきますが、見て損はない建築です。


建築に興味が無くても、絶対に「面白い」と感じれるでしょう。


藤森建築はほぼ自分の目で見てきましたが、同じコンセプトは一つとして無いにもかかわらず、「あ、藤森さんの建築だ」とすぐに解るコンセプチュアル性。


建築の醍醐味である「施工」の過程を遊ぶ心、楽しさが伝わってきますよね。


これからも、長生きして心躍る建築を魅せてほしいと思います。


私も、心躍る建築に没頭してみたものです。


ぼそぼそ…

 
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