よく施主さんと話していると、「耐震等級?メリットあるの?」と聞かれることがあります。
耐震等級は1~3等級あり、平成12年に基準が出来ました。
最高は3で「震度6~7の大地震の1.5倍の揺れでも倒壊・崩壊しない」レベルとなっています。
ホームズ君木構造HPより引用
その等級も、もう20年以上前に制定された話なんですよね。
実態としては、耐震等級3取得住宅は、被害が少なくかなり優秀なので基準として安心です。
では、3等級取得のメリットは「安心」の他には、どんな内容なのでしょうか。
多くの方は主に、生涯地震保険料が50%割引になる。といったお話をされるでしょう。
でも、地震保険って、保険料が割引かれるのに加え、他にも安心なことが沢山あります。
例えば、「地震による」火災被害。これは、火災保険では実は補えません。
他にも、「地震により」隣地建物が倒壊したことによるもらい被害、
津波・洪水による倒壊・火災、家財の被害、
そして、税の面では所得・住民税の控除が受けられます。
万が一被災しても、住宅ローンは控除もされませんし、残債のみが残るのも不安ですよね。
公的支援が、万が一の時はあるから大丈夫…と言っても、
最大金額は数百万円程度ですし、なんせ「絶対」の無い自然災害相手の支援です。
被災後の生活の再建も苦しくなる事も考えると、やはり加入はしておいた方が良いと思います。
そもそも、地震大国である日本で耐震等級3を取得しない選択肢は、私は「無い」と考えています。
地震に安心・安全・強い!、これは、耐震等級3を取得していなければ心許ない言葉です。
何故か…そもそも絶対守るべき建築基準法の耐震基準(昭和56年の基準)って、
大地震では「倒壊・崩壊」は想定されていないんです。
つまり、「お家倒れはしないけども、傾いたり壊れはする…」ってことです。
これって、「生命を守る」って意味では法律は合ってるんでしょうけど、
その後の事が考慮されていません。
これが、いわゆる耐震等級1に当たります。
耐震等級3は、この基準の1.5倍の大地震でさえ連続して起きても耐えうる事が出来るもの、
とされています。
最近ですと、熊本の益城町の震度7の大地震。
あれを数回受けても軽度な被害程度で済む方が、
安心じゃないですか?少しのリペアで復帰できる訳ですから。
実際に、倒壊・半壊が35,000棟を超える中、耐震等級3での倒壊は0件でした。
では他に、耐震等級3を取得すると良い事はなんなのでしょうか?
まず、住宅の気密性が上がります。
耐震向上させるために建物をガッチガチに造るので、都度起こる地震による、
建物の「隙間」が、生涯生じにくくなります。
それにより、経年による建物の隙間が生じにくくなりますから、その点有効です。
気密断熱住宅には、耐震等級は必須ですね。
他にも、等級を取得しようとする事で、
「第三者による耐震の現場検査、設計図面上の審査」が入ります。
設計者の考えだけによらず、第三者のチェックが入るためより安心ですね。
プラスアルファでお話しすると、耐震等級3を取得するためには「構造計算」をする方が良いです。
構造計算をせずとも耐震等級3を取得する術はあるのですが、よりその方が安全ですし、
なんせ経済的です。
構造計算により細かく計算をすることで、無駄な材料がかなり減ります。
例えば、基礎の鉄筋の本数や太さ、コンクリートの量、
梁の大きさや柱の本数もコストカット出来ます。
細かく計算することで、力のかかっていない部分等が分かるので、
無駄に構造材を太く大きくせずに済むからです。
構造計算は概ね23万位費用が掛かりますが、材料の大きさや本数が減れば、
そのコストカット分かなり補填できます。
生涯の安心安全と、気密と、余計な材料費をコストカットする為の投資って考えても、
構造計算はやった方が良いです。
ちなみに、構造計算とかやって当たり前でしょ?とか思わないでください。
現状、ほぼ。2階建て住宅はやっていません。
寧ろ、「義務」なのにも関わらず、法を読み違えて耐震の計算・検討さえやっていないで
設計する人が、結構おります。なので、外注を受けているとたまに衝撃を受けます。
折角の一生に一度のお家づくり、コストを抑えながら安心安全なもの、造りたくはないでしょうか?
ぼそぼそ