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  • 執筆者の写真koharubi

ちょっとまった…大地震にそなえる性能

ここ最近、西日本で大きな地震が起きています。

南海トラフ付近ですね。怪しい動きです。


8月位に大きいのが起きそうで怖いですね。。


大地震は一定のスパンで必ずやってきます。


地震大国日本。


日本建築というものは、地震を想定して造られています。


大昔からそうですね。


近年の建築物では高層ビルに加え病院・学校・消防署・市役所といった施設は、極稀に起きる大地震の1.5倍の力・揺れにも耐えうるように設計が義務付られています。


しかしながら、住宅レベルではまだ法整備は追いついていない現状があり、


基準法レベルの建物は極稀に起きる大地震で「倒壊・崩壊しない」レベルとなっています。


今回はKoharubi-lab.で普段から行っている耐震解析を、良い機会なのでお話しします。


このブログでも過去の記事からお話ししている通り、耐震性能はもはや必須と言っていいでしょう。


しかし、「まさか日本に限って…大丈夫でしょう?」と無確認で購入・建てるのはちょっとお待ちください。


基本的には日本の住宅は建築基準法のみ守られたものが殆ど。


大震災の「崩壊・倒壊」を耐えうる性能は持ち合わせていません。


さらには、「住宅って構造計算してるから安心。だって義務でしょ?」とお思いの方。


こちらも義務では無いのでほとんどの住宅で行っていません。


正確に申し上げると、壁量の計算等いくつか義務はあるのですが2階建て住宅規模だと建築審査では特例で審査が無いので、「お任せします。」の姿勢であるという事になります。


つまり、やっていなくても問題ない、バレない。という事です。


こう色々と問題のある現在の日本の住宅市場。


怖いですよね。


メーカーだから、有名ビルダーだから安心。はまったく通用しないのが日本の住宅市場です。


でも、それってどう問題なの…?という所ですよね。


では具体的に…基準法レベルと大地震の1.5倍の揺れでも倒壊・崩壊しない耐震等級3の違いを視覚化してみましょう。


Koharubi-lab.で設計した住宅をモデルに解析してみます。


ここからは、「時刻歴応答解析」を用いてお話しします。


「時刻歴応答解析。。」ってなんですか…??という所から(笑)


時刻歴応答解析は、高層ビルが大地震に耐えられるかを検証する解析で、実際の地震動でどう揺れるのかを秒に何百万回も計算して地震時の揺れをシュミレーションして、実際に再現する方法です。


高層ビルの設計では標準的に用いられています。


これを住宅で応用するわけです。


京都大学生存圏研究所の中川准教授が開発されたシステムを使わせていただいています。

今回の解析は、「JMA神戸地震動」を使用します。

これは、震度7を記録した有名な大震災である1995年阪神淡路大震災の地震動です。


この地震動に更に1.25倍すると震度7となりその加速度(gal)・揺れを表現できます。


建築基準法の大地震の想定というのは、加速度4~500Gal程度までしか想定されておらず、

本地震は900gal。大きく上回りますね。


※(galとは、地震の速度変化の事。加速度)


なので、言うなれば同じ震度6強、震度7だとしても揺れのケタが違うという事。

そしてここに、このようなモデルを作成します。


実際にKoharubi-lab.で設計した住宅です。


1つは「建築基準法レベル」の耐震構造としたモデル。


耐震性の法律を守って設計した最低限のモデルとします。


そしてもう一つは耐震等級3+構造計算+a(バランス調整)設計を加えた実際のモデル

(以後、耐震化住宅)


こちらはKoharubi-lab.の標準的な住宅設計内容です。


二つを比べてみようというわけですね。

こんな感じで30秒の揺れで解析、縦横斜めありとあらゆる方向に揺れている事を確認します。


阪神淡路大震災の震度7クラス、やはり基準法で想定された6強のグラフとはかなり違っています。


では、実際に揺らしてみましょう・・・さて


※左棟が基準法レベル 右棟が耐震化住宅

条件は、耐力壁のみで「余力」は含まず、建物荷重は不利側で考慮という要素で解析した結果です。


左棟の基準法レベル、倒壊しないようにしたつもりが倒壊してしまいました。。


法律上倒壊はしないはずでしたが、耐力壁の配置バランスが悪かったのだと思います。


右棟の耐震化住宅、傾きも無くちゃんと立っています。


これでも一部は少しダメージが入る感じですよね。


実際には、「余力」といって壁に貼られる外壁材・石膏ボード等仕上がりも耐力として入ってくるので、もう少し強くなるので、また違った結果になってくると思います。


では耐震住宅でこの「余力」を考慮して震度7、阪神淡路大震災を再現してみると…

ご覧の通り耐力壁のみの時より、大分余裕が出ました。


これで、更に強化の設計を図っていきます。


耐震等級3、大事ですよと語ってきた内容を見える化するとこの結果です。


恐ろしいですよね?


ちなみに10年前の東日本大震災はこの地震加速度galのおよそ3.3倍です。


訳が分かりません…さらに上をいく早い揺れ、強さの巨大地震です。


耐震の大事さ、なんとなく伝わりましたでしょうか?


実際には、建物荷重・耐力壁バランス・金物や構造の組み方等多くの要素が耐震化には絡んでいます。


この設計士さんだからOK、この会社なら大丈夫でしょ?、だと意外に耐震化をしていなかったりノウハウが無かったりします。


命に係わる事ですから、必ず耐震性の設計がされているか担当の方に確認してくださいね。


少なくとも、「基準法46条検討書を見せて下さい」や、「耐震等級は3ですか?」と伝えて下さい。


デザイン・間取りの利便性はその後です!


耐震設計をしてからでも十分叶えられますから、ご安心ください。


ここからはおまけで…


今度は「余力」を含む耐震化住宅で大地震シュミレーションも解析してみました。


こちらは、2016年4月の震度7を記録した熊本県益城町の2回目の地震によるシュミレーションです。

揺れの特性は違いますが、ご覧の通り全くの無傷です。


如何でしたでしょうか?


こうして見える化してみると、怖さだったりホントに大事なものが見えてきませんか?


こうした耐震設計は建物の重さも大きく影響します。


しっかり考慮しなければいけません。


因みにですが、今推し進めている太陽光発電。


新築・リフォーム等でも屋根に乗せる事が増えました。


これは今の省エネ基準クラスの家で電気代を0円にするための発電枚数を載せると、概ね450Kg位の重さが追加で屋根に載る計算です。


この重さ、後から載せること・初めから重さを考慮していない建物、すなわち構造計算をしていない建物に載せたらどうなると思いますか…?


このシュミレーションが更に変わってきます。


勿論、構造計算をしていても太陽光パネルを後から載せる事を考慮して計算していなければ

同じことです。


実は私も建築をはじめたころ、耐震性をあまり考えず設計していた時期がありました。


どう学んでいいか分からないことに加え、建築基準法さえ守っていれば大丈夫だと思っていたのです。


法さえ守っていれば…しかし違かった。


ホントに青かったですね…


そんな考えを覆す地震被害の数々。


耐震性の重要さ・耐震の設計を今は口酸っぱく唱えています。


法律は"最低限"


守れば我々建築士は守られますが、住む人達・ユーザーの皆さんの命は守れないかもしれない。


まだまだその先へ、もっともっと良いモノつくりに燃える日々を過ごしたいです。


また、ためになる事お話ししてみたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。


シュミレーション回でした。


ぼsぼs

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