koharubi−lab.のスタイルについて

秋ですね。
私も独立して設計事務所を構えてから、何度目かの秋を巡りました。
先日ふと思ったことがあって、私はあまり今の設計スタイルが確立するきっかけを、公に話したことがない事につい先日気が付きました。
事務所の取材をメディアから受けた際、「そういえばあまり語ったこと無いなー」と気づきまして…

今回は今の設計スタイルが出来上がった経緯をお話してみます。
私は16歳から建築を学んでいるわけですが、図面を描いたり計算したり鉄筋曲げたり木彫りしたり溶接したりと…まあ建築一筋でした。
学業を終えたあとは大手ハウスメーカーで営業職を経験し、そこから住宅設計を経験し、その後紆余曲折人生を経たあと、小さな工務店で現場監督兼設計を経て、ここ飯能で設計事務所として独立しました。
歳のわりに業界歴はなんだかんだ20年以上なんですよね。
社会人になり、この業界構造が色々見えてきた20代半ば…今からもう13年も前になりますが…省エネや断熱など全く言われていない時代、当時私は現場監督として外を駆けずり回っていました。
そんな中ですね、私が一生懸命職人さん達と造った戸建て住宅が、お引き渡しの際、厚手の靴下を突き抜けるほど寒く、そして夏は暑い環境であることを知り、非常にショックを受けたのが実は価値観転換の大きなきっかけでした。
丁寧に断熱材を充填して、品質管理をして…
「よし、これで大丈夫だぞ。」と…
当時は知識も経験もまだまだですが、真面目に頑張りました。
快適になると信じて。
しかし…現実はそうはならなかった。
当時は断熱も気密も何もかもがまだまだな時代ではありました。
これって自分なりにとても悩んだんですよね。
この住宅業界、どうにかすることはできないかと…
そんなきっかけで色々と調べたところ、無暖房住宅や通年を通しパッシブデザインにより室内環境が安定した超省エネ住宅を供給している技術者が全国で「少なからずいる…」ということを知りました。
「なんだ。出来るんじゃん。」それが当時の素直な感情でした。
そこから今のパッシブデザインの設計スタイルと環境工学を猛勉強。
これがまた、一筋縄でいかない…(笑)単純そうでめちゃくちゃ奥が深い。
(大学時代、環境工学とか熱エンタルピー物理学とかもっとちゃんと授業受けとけばよかった…ってめちゃくちゃ思いました…)
結果ほぼ物理学なんですけど、深すぎて、危なくて、凄くて、面白い。
その中で、省エネやら断熱やらを突き進めると、当然ながらライフサイクルカーボンの問題とも向き合うことになるんですよね。
オペレーション・エンボディドカーボンも当然然り。
そんなカーボン問題を考え向き合い始めるとですね、今度は根底に地場材や地産地消といったことも割と関わってくることに気づきました。
これは、割とかなり重く…深刻だなと感じたのも覚よくえています。
そして省エネからはじまりカーボン問題等を背景に建築活動をしていると、「生産者の顔の見えないものづくり」が今の建築にはあると気づきました。
まあ、これって今当たり前というか、時代なんだとは思うんですが…
結果的に、省エネを通し良質な空間を設えていくと同時に、カーボン問題とも自然と向き合うことで、地産地消や地場材利用の意義が見えてきて、
「生産者の顔が見えるものづくり」も意識するようになったんですよね。
やはり、生涯命を預ける住宅も、過ごす時間が膨大な店舗や商いの施設建築も、資材や素材、そしてその生産者の顔が見える方が、安心なんですよね。
食材と一緒です。
最初のきっかけは低性能の住宅ではありましたが、結果として全てが線で繋がり、これらを少なからずなんとかしたいと思ってやり続けてきた…これが今の設計スタイル確立の価値観に至っています。
私のスタイルってかなり重いんですよね。
なんせ土地探しから調査も計画も計算も意匠設計も構造設計も温熱環境も申請も監理も全部やっているので…大概の人はある程度外注しますからね。
そして極めつけは現場作業もやるという。まあこれは監督時代の名残でやりたくなってしまうだけ。
「やりすぎだよ。もっと肩の力抜いて気楽にいこうぜ、と。」
実際人一倍疲れるのは事実ですが…
外注することで生まれる時間の余白・余裕が生まれるのは事実です、でも私は自分で点を書いて自分で線を繋げて完成させたい人間なので、結局頼り切れずそのスタイルなんですよね。
そして、外注するとせっかくの「学べるチャンスを失う」…「進化の余白を狭くする」…
という考えが根底にある。
いや〜…面倒くさい人間ですね(笑)
寒い冬にお風呂入ることくらい面倒くさいですねー。
そんなこんなで生きてきて、事務所構えて真面目にプライドもって設計をしている…と気づきました。
今回取材を受けることを通して、ふと振り返りつつこれからも自分のパッシブデザインスタイルに磨きをかけていこうと思いました。
そして何より、私をここまでにしてくれた数多の技術先輩方に感謝しています…
当然自分の勉強量が前提にありますが、私は会社員時代の上司とかOJTとか…その点恵まれたと思っています。
先輩技術者達は現在も交流させていただいていて、まだまだ技術進歩が出来ます。世界は広いです。
kohakubi−lab.…今年は少しプロジェクトに関わるペースを落としながら仕事しましたが、
そろそろ来年に向けて頑張ってやっていきたいと思います。
今回は個人的なぼそぼそでした。

