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建設業界で静かに起きている異常事態。

  • 執筆者の写真: koharubi
    koharubi
  • 3月21日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月9日

建築確認申請が下りない。


果てしなく…


今、住宅業界で静かに起きている異常事態。


以前軽く触れましたが2025年の法改正以降、確認申請の審査が極端に長期化しています。


これは一部地域の問題ではなく、全国的に起きている現象です。

特に北海道・首都圏・名古屋圏は顕著です。


しかし、住宅価格の上昇、金利上昇、空き家問題はニュースになりますが、「確認申請が下りない」「着工できない」という住宅供給の根本の問題は、驚くほどメディアに取り上げられていません。


ですが、現場レベルではかなり深刻な問題になっています。


これは単なる「審査が少し遅い」という話ではなく、業界の構造そのものに関わる問題だと思います。


そもそも法改正で何が起きたのか…


法改正により、確認申請で求められる図書と審査内容が大幅に増えました。


省エネ関連図書の審査

構造関係規定の審査強化

詳細図面の提出

各種計算書と根拠資料

仕様の要求


ざっくりとまあ、ここまでは理解できます。


問題は、その審査量の増加に対して審査体制がほとんど変わっていないこと。


審査する人の数が増えたわけでもなく、審査期間の制度が変わったわけでもない。


でも、審査内容だけ"が"増えた。

結果どうなるか想像つきますよね。


内容増加による補正 → 再提出 → 再補正 → 再々補正このループに入ります。

体感では、審査期間は以前の3~4倍以上になっています。

単純に処理能力を超えているのだと思います。



確認が下りないと、全てが止まります


着工できません。

着工できなければ、当然ですが関わる人すべての売上は立ちません。


でも設計事務所や工務店では、設計完了し見積完了もして、申請提出済…でも確認が下りない


結果着工できず入金がない…


という状態が普通に発生します。


これは資金力のある大手なら耐えられますし、そもそもハウスメーカーは型式認定。審査時間など有って無いようなものです。


でも地域の工務店や個人の設計事務所はそうではないため、到底耐えられません。


仕事はしているのに入金がない期間が長期間続く。


今の確認審査は「責任の構造」が歪んでいると思います。建物の安全性、省エネ性能、そして法適合。


これらの設計内容について最終的に責任を負うのは当然設計者です。


これは制度上はっきりしています。

では確認審査は何をするものか。

本来は、設計者が出した設計が、建築基準法に適合しているかを確認する…

これが確認審査の役割のはずです。


しかし実際には、

計算過程の細かい部分まで審査

根拠資料の提出要求

メーカー資料の提出要求

参考文献の提出要求

設計方法そのものへの指摘

ここまで来ると、もはや法適合確認ではなく設計審査になっています。


しかし、責任を負うのは審査機関ではなく設計者です。

責任などそもそも設計者が取ればいいし、その覚悟のうえで設計も計算もしています。


つまり今の制度は、責任は設計者でも設計内容は審査機関が細かくチェック

その結果、審査に時間がかかる

でも遅れても誰も責任を取らない

という構造になっています。


これはかなり歪な構造だと思います。


なぜこの問題は報道されないのか…

ここも大きな問題だと思っています。


この問題が報道されない理由はおそらく、

・一般の人が仕組みを知らない

・住宅は個別案件なので問題が表面化しにくい

・業界の中の人しか困らないように見える

・行政の制度の問題なのでメディアが触りにくい

このあたりだと思います。


例えばこれが、食品が出荷できない、飛行機が飛ばない

となれば大ニュースになります。


住宅は、

確認が下りない

着工できない

完成が遅れる

という形で、静かに遅れるだけです。

だから社会問題として表に出にくい。


でも実際には、

審査下りない→工務店のキャッシュフローの悪化→スケジュールの再調整→職人の仕事減少、ルーティンの乱れ→着工棟数減少→住宅価格上昇→売れない→倒産の増加


という形で、確実に社会に影響が出ています。


これは表に出にくいだけで、かなり大きな構造問題だと思います。

誰も悪くない。でも業界構造が悪い

審査員が悪いわけではない。

設計者が悪いわけでもない。

工務店が悪いわけでもない。


施主さんが困るだけ。


問題は、

制度と体制のバランスが崩れていること。


審査内容は増えた、けど審査員は増えていない、けど審査範囲は広がった。

でも責任の所在は変わらない。

でも審査が遅れても誰も責任を取らない。

この構造の中で、設計・審査・施工・施主…

関わる人間全員が疲弊していきます。


これは「これから起きる問題」ではなく「もう起きている問題」で、

統計やニュースに大きく出てくるのは、もう少し後だと思います。


これ、早めるために入金を先にしてしまい、審査中に工務店が倒産して結果回収できない…という問題も出てくると思うんですよね…


住宅業界は今静かに、でも確実に大きな歪みの中にいると思います。


そしてこの問題は、いずれ倒産件数、着工棟数、

住宅価格という形で、数字になって表に出てくるはずです。


その時に「なぜこうなったのか」と言われると思います。


現場にいる人間からすると、理由はシンプルです。

制度と現場の処理能力が合っていない。


そしてこれは真面目にやってきた人程、単なる貰い事故でもある。


普段から構造も省エネも真面目にやっていれば、要領が概ねわかっていて、補正がそもそも少ないから。


だから余計に腑に落ちない。


この補正が多い…つまり作業にまだ慣れていない設計者も大勢いますから、いわばレジで渋滞を起こすのは当然です。


ほとんど社会に知られていない今起きていることですが、


軽く流すにはこの空気感は少し世間がクールすぎではないでしょうか?


審査にもAIの導入等本気で検討していかないと、資金力のない中小企業は全部共倒れする時代が来ているのでは無いかと思います。


もっとみんな騒いだ方が良いと思うんですがね…まあ私の意見程度に過ぎないですけど。


ぼそぼそ

 
 

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